いったーん

オクオカの
暮らしにふれる

オクオカに移住し、お店を開いた藤井さんが感じる、このまちで子育てをすることの魅力

オクオカ暮らしのインタビュー

移住したまちで、どうしたら上手く暮らしていけるのかな。どんな暮らしが待っているのかな。移住前に抱える不安。その答えは実際にこのまちで暮らしている人の中にそのヒントがあり、またそれはこのまちの新しい入り口なのではないかと思い、インタビューに伺ってみました。今回は「地域の魅力を伝える」「オクオカ暮らしに近づく」「オクオカと暮らす」の3つのテーマにそって5つの質問項目を設け、それぞれの中から1つずつ選んでもらい、お話を伺いました。そして、インタビューの最後に「このまちの入り口を増やすにはどうしたらいいと思いますか?」という共通の質問を投げかけ、お話を伺った方々の地域に対する思いを聞いています。

お話を聞いた人:藤井 愛子さん
9年前にご夫婦で移住し、現在は子育てをしながら憧れの田舎暮らしを実践中。
木下(きくだし)町在住

結婚前から田舎での暮らしに憧れていた藤井さん。西尾市に生まれ、岡崎出身の旦那さんと結婚後、旅行に行って気に入ったというネパールで4年間暮らされた後、妊娠をきっかけに木下町に移住。旦那さんが無農薬有機栽培の茄子農家を経営されていたことから、そこで出る廃棄対象になってしまう茄子を使って漬物屋さんを開業しようと計画するも、なかなか漬物づくりがうまくいかず断念。そこでネパールで暮らしていた経験を活かしてネパール料理店をはじめることにしました。2020年には千万町の空き家を借りて「茶流香(ちゃるか)」をオープン。今は小学生のお子さんを育てながら、お店を切り盛りしています。
私とは共通の友人を通して、話しを聞いたり、お店にお客として訪れたことは何度かありますがきちんとお話しをお伺いするの初めてでした。移住者としてこのまちに来て、お店を開き子育てもしながら感じている暮らしや人の魅力などをお聞きし、さらには彼女がこれからここで挑戦してみたいこともお話ししていただきました。

お話を聞いた日:2023年8月09日

このまちの魅力を教えてください。

藤井:とにかく、住んでいて飽きないですね。そこが一番の魅力かな。

石原:飽きないというのは具体的にどういうことでしょう?

藤井:岡崎の中心部に行くと、すぐに木下(きくだし)に帰ってきたくなるんです。つまり、ここにいるだけで安心するって感じかな。環境がいいっていうのかな?

石原:環境がいいっていうのは、自然豊かということですかね?

藤井:そう!静かなのと、緑も多いし、自分にはすごく合っていて。空気もおいしいし。あとは本当に、人とのつながりかな?すごくよくしていただいてるなあって日々感じています。

石原:例えばどういうことですか?

藤井:例えば、そこ(窓の外から見えるお宅を指さして)のおばあちゃんもおじいちゃんも95才で、歩くのも大変なんですけど、畑をやってて。採れた野菜をここまで歩いて持ってきてくれたりするんです。うちの旦那さんは庭師の仕事をしているのですが、主人に仕事を頼んでくれたり。気の使い方というか、すごくさり気なくみんな近寄ってきてくれて。よくこのまちに来てくれたね!みたいなオーラを出してくれるんです。

石原:ここにいていいんだな!って思える環境ってすごく大事ですよね。


休日の過ごし方を教えてください。

藤井:休日は子ども達と一緒に近所で川遊びとか山登りをしています。

石原:川遊びはどこ行くんですか?

藤井:川遊びは、木下でも泳げるところがあるので、すごい小さいところだけど。そこに毎日。平日でも行ってます。

石原:山登りはどこに行くんですか?

藤井:登山道がある鳥川は登りやすくてよく行きます。子どもたちも一緒に、水晶山とかに水晶をもらいに。

石原:鳥川に水晶があるんですか?

藤井:あるんです。水晶山に行くと水晶が採れるんですよ。

石原:うちの子が数年前水晶にハマってたんで、喜びそうです。

藤井:ぜひぜひ行ってみてください。水晶見ます?(石展示スペースに移動)これは水晶山の水晶。小さいけど。こういうのが結構取れるんですよ。もっとあったんだけど人にあげちゃって。すごく小さい赤ちゃんの水晶です。 ここに暮らしていると、犬の散歩をしていれば半日終わっちゃうし、休日も近所のおばあちゃん家行ったり、火をつかってバーベキューしたり。あとはまちに住んでる友達がうちに遊びに来てくれますね。こっちに来たい!っていって、みんなでバーベキューして川で遊んだりして。本当に喜んでくれるので、休日はもうそれで十分ですね。


このまちで今後実現したいことを教えてください。

藤井:このまちで実現したいこと、つまり夢みたいなことですよね。子どもが少ないっていうのが、やっぱり今直面している問題というか。だから子どもを連れて移住してくる人を増やしたいかなあ。と思ったりします。

石原:子どもが少ないことの問題って具体的にどのようなことですか?増やしたいと思う理由があれば教えてください。

藤井:うちの子が通う学校は人数が少ないので、2学年で1クラスという複式学級になっているんです。みんなすごく仲良くて、本当にいい学校なんですけど、やっぱり少なすぎて学年1人の子もいるんですよね。それで、中学校に入ると環境が急に変わるので、学校に馴染めなかったりだとかそういうこともあって、環境の変化に対応するのが子どもたちも難しいみたいです。今はすごく楽しいけど。そうならないためにいろいろ集合学習とかもしてくれているんですけどね。 あと子ども同士で近所で遊べない。小さい時って普通に友達の家に行きませんでした?○○君ち行こうみたいな。そういうのがないんですよ。

石原:隣の家が遠いから、逆にリモートでゲームで遊んでいるとか聞きますね。

藤井:そう。車で送り迎えすれば遊べるんですけど。

石原:小学校の子同士で遊ぼうっていっても、遠いんですね。

藤井:このあたりの子たちはお母さんが送り迎えしてて。ちょっとそれが、子ども同士の秘密の思い出とかできにくいかなあ。と思ったりします。まあ遊んでいるからいいんだけど。そこが少しかわいそうかなと思っちゃったり。自分の子ども時代と比べてるだけなんですけどね。 住みやすいところなんだよというのを分かってくれる人がちょっとずつ移住とか保育留学とか、そういう形ででも、子どもたちがこっちに来てくれるといいなと思ってます。

石原:そうですね。まちの子が来る特認校制度(岡崎市内の小学校に在籍する児童であれば、小規模特認校として指定された小学校に入学・転入・編入できる制度)も今はありますね。お子さんが通う小学校にも来ていますか?

藤井:それで来ていた子もいたんですけど結局来なくなっちゃったり。そういうシステムも、もうちょっといろいろ良くなっていけばいいなと思ってます。

石原:まだまだその制度のことを知らない人もいるような気もしますね。

藤井:そうそう。ちょっとずつでも知ってもらうことが必要かな。意外と岡崎に住んでいる人でもこの地域をあんまり知らない人、多いですよね。なのでちょっとずつでもまずは存在を知ってくれる人が増えるといいなと思っています。

どうしたら、このまちの入口が増えると思いますか?

藤井:体験移住ができる場所があったらいいなって思いますね。泊まって住むとなると、夜の静けさとか、虫の鳴き声とか、虫好きな子だったら気に入ってくれるかもしれないし、そういう施設みたいなものがあって、住む前に体験できたりしたらいいのかなと。ここも使っていない日が多いので、何かそういうことにも使えたらいいなと思ったりもしているんですけど。近くにも空き家がありますしね。

石原:移住じゃなくても、ネパール料理を食べに来るのも私は入口の一つだと思いますが、そのあたりはいかがでしょう?

藤井:そうですよね。ちょっとでも知ってもらえたら入口か。個人的に空き家があるよとは言っているけど、やっぱりなかなかそれだけでっていうのも難しいですもんね。

石原:そうですね。でも小学校に通う子どもを増やそうと思うと、特認校制度か住んでもらわないと増えないもんね。

藤井:そうなんですよね。難しいですよね。村のおじいちゃんおばあちゃんで移住者を増やそうという発言する人を、あまり聞いたこともなくて。石原さんたちのようにこうやって来てくださっている人のほうが危機感が見えるみたい。

石原:でもこの地区(宮崎学区)は移住者に対して寛容だと聞いたことがありますが。

藤井:そうなんですよね。来てほしいと思ってはいるんだと思います。

石原:自分に何かできるわけでもないと思っている人も多いのかな?

藤井:きっとそういう感じなのかな。考えてはいると思うんですけどね。

石原:このお店はそういう外から人を呼ぶきっかけになりたいという目的でやっているというよりも、お料理を提供したいという感じなんですか?

藤井:お店をはじめたのは、最初は本当にこの地域が好きなので、ここの村というか、額田から出ずに自分で生計を立てれたらいいなって思っていたのと、もちろん額田の魅力を知ってもらうきっかけにもなれば。と思っていたのですが、ネパールに特化してるとネパール料理が好きというお客さんが多くて。いまでは、もっとだれでも気軽に入れる喫茶店もやりたいなあと思っています。ネパール料理だと、おじいちゃんおばあちゃんはネパール料理、食べれるかな?みたいになっているので、本当はもうちょっと入りやすい感じにしたいと思ってるんです。でもネパール料理やめちゃうんですか?と言っていただくことも多いので、悩ましいですね。

石原:ネパール料理も食べれる喫茶店、みたいなのがいいのかもしれませんね!

藤井:そう!いまは週に2回ぐらいしかやってないし、お店やってない時にはおばあちゃんたちにもこの場所で何かやってもらいたいなとも思ってます。漬物もおばあちゃんたちなら、すごく上手なんです!ほかの人にこの場所を使ってもらったりするといいな、とも考えています。

石原:なるほど。まだまだやりたいことがありますね!



インタビュアー

石原 空子

岡崎市の中心部で暮らす。川とともにある暮らしを目指すONERIVERの活動を行っている。二児の母。