いったーん

オクオカの
暮らしにふれる

家具づくりを生業に暮らす池冨士さん。魅力に感じていることやこのまちで実現したいことをお話しいただきました。

オクオカ暮らしのインタビュー

移住したまちで、どうしたら上手く暮らしていけるのかな。どんな暮らしが待っているのかな。移住前に抱える不安。その答えは実際にこのまちで暮らしている人の中にそのヒントがあり、またそれはこのまちの新しい入り口なのではないかと思い、インタビューに伺ってみました。今回は「地域の魅力を伝える」「オクオカ暮らしに近づく」「オクオカと暮らす」の3つのテーマにそって5つの質問項目を設け、それぞれの中から1つずつ選んでもらい、お話を伺いました。そして、インタビューの最後に「このまちの入り口を増やすにはどうしたらいいと思いますか?」という共通の質問を投げかけ、お話を伺った方々の地域に対する思いを聞いています。

お話を聞いた人:池冨士 裕さん
兵庫県生まれで、岡崎市稲熊町出身の奥さんとともに岡崎市へ移住。細川町にある自宅から通いながら奥殿にある工房を拠点に家具の設計製作を行う「pond」を立ち上げました。
奥殿町へ通う

池冨士さんとは、僕らが普段活動する団体での活動を通して知り合いました。岡崎に移住されてから、まだ日が浅く、このまちのことをいろいろと知りたい!という好奇心にあふれ、僕らの話に熱心に耳をかたむけてくれたのが最初の出会いです。 その後、縁がつながり、本プロジェクトのフィールドワークで奥殿にある家具製作工房を見学させていただいたりするなど、交友を深めていき、今回あらためて話をお聞きしようということになりました。池冨士さんには、オクオカで働きはじめて景色やエピソードを移住者目線で語っていただいたほか、ものづくりを生業にする立場からオクオカの魅力や資源についてもお話いただいています。

お話を聞いた日:2024年12月06日

このまちに住んでよかった!と思えるエピソードを教えてください。

池冨士:この物件に出会ったきっかけは偶然で、物件探しをしているときにグーグルのストリートビューでたまたま見つけたからなんです。当時物件を探しすぎて、グーグルマップを見るだけで、ここは倉庫とかが分かるようになっていたんです。

岩ヶ谷:それくらい細かくいろんな場所をリサーチしていたんですね。

池冨士:初めのころは、もう少しまちなか辺りで探していたんですけどね。ただ、なかなか良い物件が見つからずで、どんどんエリアを広げていきました。お義母さんが保久町の柴田酒造場の柴田会長と同級生という縁もあって、柴田会長からいくつか物件を紹介してもらったりいろいろとお世話になりました。そういう感じでいろんな方法で物件探しをしていく中で、最終的にここにたどり着きました。

岩ヶ谷:はじめはもう少しまちなかを探していたとおっしゃっていましたが、引越しされてみて利便性はいかがですか?

池冨士:豊田東ICが近くて高速道路が使いやすいのは便利ですね。仕事の用事で他の場所に行くのもそんなに大変じゃないし、まちなかに行くのも近いから案外不便じゃないんですよ。

岩ヶ谷:そっか、ここからだと豊田東ICが近いんですね。

池冨士:そうなんです。あまりに山の奥だと僕は暮らせないだろうなっていうのを今までの経験でなんとなく分かっていたんです。ある程度は賑やかさも欲しい。なので、この辺は結構ちょうどいいですよ。山の入口っていうのかな、景色がパッと変わる場所なのも気に入っています。家具屋(工房)としても、みんなのイメージする家具屋っぽいかなというのもあって、だんだんしっくりきました。

岩ヶ谷:この場所に来たお客さんはどんな反応されますか?

池冨士:みんないいねって言ってくれますね。それで自分でもいいよなってだんだん思ってきました。普段散歩をするんですけど、ここがちょうど丘の中腹あたりで、丘をのぼりきって反対側にちょっと下ると景色がすごくいいのも好きですね。朝霧が出て、もやもやしている感じは幻想的です。でも湿気が溜まることもないし家具屋としては仕事がしやすいから、いい場所選んだなって思っています。さっきも言いましたけど、山の入口というのは魅力的ですよ。中のほうに入りたい人は入っていけるし、まちのほうにも行きやすい。この場所がきっかけになって、山のほうへ関心を持ってくれる人が出てくると嬉しいですね。

岩ヶ谷:いいですね。たしかにちょうどまちなかから来たときの入口ですね。

池冨士:まちなかだけじゃなくてICがあるから市外や県外から岡崎に来る人の入口にもなるんですよ。もちろんオクオカの入口でもありますよね。そういう場所に拠点を構えられたというのはいいことでした。それが僕としてはすごく魅力を感じている部分ですね。そこまで山深くはないのですが、山の自然を感じることもできます。紅葉も見れるし、田んぼもあって、畑をやっているおじいちゃんおばあちゃんもいる。そして、子どもがすごく元気なんです。子どもたちが奥殿小学校から集団下校するときに、そこら中の人に「こんにちは」って言うんです。そういうのもいいですね。

岩ヶ谷:オクオカの小学校の生徒さんたちってみんな挨拶してくれるし、すごく気持ちがいいですよね。環境がそうさせるんですかね?

池冨士:教育しているわけじゃないと思うんですけど。

岩ヶ谷:まちなかでも、してくれる子はしてくれるけど、むしろ逆にあまり知らない人に声をかけるなって教育は受けていると思いますね。

池冨士:その中間領域みたいな、まちと山の中間ぐらいの曖昧な場所というか、それがなんともいえない心地良さを生んでいるのかもしれないですね。

岩ヶ谷:素晴らしい。ありがとうございます。


休日の過ごし方を教えてください。

池冨士:岡崎初心者なので、岡崎をまわっていることが多いですね。まちなかの気になるお店に足を運んだり、籠田公園に行ってみたり。そういうことをすることが多いかな。

岩ヶ谷:それは岡崎をもっと知りたいからですか?

池冨士:そうですね。自分がものづくりをするときには、なるべく岡崎の業者さんから材料や資材を買いたい。製作したものを岡崎の人に買ってもらいたいと思っています。そういう気持ちがあるので、まずは自分が知らないと!という気持ちが働くんですかね。

岩ヶ谷:自分も知らないまちを目的もなく歩いたりするのが好きなんですけど、楽しいですよね。

池冨士:岡崎の中でも普段通らないところも多くて「こんなところあったんやな」みたいな発見がまだまだあります。南のほうとかはまだ全然分からない。

岩ヶ谷:これまでに行ったところで面白かったところがあればぜひ教えてください。

池冨士:あそこはすごかったな、天恩寺。ONE RIVERさんの展示をきっかけに知りましたが、行ったことがない人はぜひ行ってみてほしいですね。。あとこの間、岡崎の名木巡りのイベントをやっていたので参加したんですが、それも楽しかった。

岩ヶ谷:ありがとうございます。人とつながれるような催しに参加するのもいいですね。

池冨士:そうですね。そういえば去年正月飾りを探しているときに、どこか岡崎で作っている人いないのかなって探して「やまどり製作所」の嶋田みどりさんにたどりつきましたね。

岩ヶ谷:みどりさん素敵ですよね。なんか自然に引き寄せられていってる感じがします。

池冨士:いや、ちょっと打算が…仕事につながるかな的な打算もあるからな。汚い気持ちが…笑


このまちで今後実現したいことはなんですか。

池冨士:近所の山になんとか入れるようになりたいですね。それは借りるのか、買うのかわかりませんけど。山でいろいろやってみたいことがあるので、家具屋として幅を広げていきたいです。

岩ヶ谷:実際に山を借りれたとして、どんなことをやっていきたいんですか?

池冨士:林業するわけじゃないですけど、例えばその辺の木でも切って、スプーンとかは作ったりできるんですよ。有名な有用樹じゃなかったとしても物をつくることはできるし、なんならこういう椅子だってつくれます。限られた樹種だけを使うのはもったいないというか、樹種ごとに持つ木の特性の違いに好奇心があります。それを他の人に伝えていきたいという程ではないですけど、でも同じように木を使ってやってみたいという人がいたら、やってもらえるような環境をつくることも大切かもしれません。

岩ヶ谷:できる範囲でやれることをやるということですね。

池冨士:グリーンウッドワーク協会って知ってますか?生木を使って、手工具で加工して木工をやる人たちなんですけど、そういう人に来てもらってワークショップやってもらう場にしても面白そう。この辺りの地域は、人も来やすいしちょうどいいんじゃないかなっていう。

岩ヶ谷:家具屋として他に考えていることってありますか?

池冨士:オクオカだけに限った話ではないのですが、岡崎のものづくりやっている人達と一緒に何かをやってみたいっていうのは、最近よく思いますね。音楽のアーティストがよくコラボしたりしているじゃないですか。そういうのに家具屋としての余地があるんじゃないかなと思っています。なかなか家具屋もしんどい業界で、単純に家具づくりだけをやっていたら難しい。ちょっと違う分野に足を踏み入れて、余地をつかんでいきたいという感じはありますね。

岩ヶ谷:できそうな気がします。僕も夢が膨らみました。

池冨士:オクオカで活動されている方も増えてきていますよね。なにか一緒にできないかな。このあたりも奥殿陣屋が近くにあって人は結構くるんですけど、また違った層が来るようなきっかけの場所にできたら面白いかなと思っています。ここでワークショップしてもらうとか。

岩ヶ谷:山を持っている人を見つけて、声かけて、その山に入らせていただいて、ワークショップする。そういう展開は面白そうですね。また一緒にやりましょう。

池冨士:そういうことならやっていけるのかもしれないですね。

岩ヶ谷:ものづくりを通して自分たちのまちを知るというのは良いですね。


どうしたら、このまちの入口が増えると思いますか?

池冨士:年齢層も趣味も多様化しているから、どんな人に何が刺さるのか分からないけど、いろいろな人に注目されるような場所になったり、それらに引き寄せられるように人が増えていくのがいいんだろうなと思います。奥殿陣屋だけでは偏っちゃうというか。サービスエリアだけじゃ固まっちゃうし、いろいろな人に注目される場所が増えるとおのずと人が行き来して、もしかしたらその中から根づく人がいるかもしれない。そのポテンシャルは結構あると思うんですよね。まちなかもそうですが、名古屋圏も近いし。高速使えば30~40分でここから行けるので。そういうところかな。なので、いろいろな人に刺さるような場所が増えるといいのかな思っています。

岩ヶ谷:これまでに浜松や岐阜など、いろいろなまちを見てこられてた池冨士さんからみても、岡崎やオクオカは十分にそういう入口になり得るだけのポテンシャルはありそうですかね?

池冨士:岡崎は層が厚いですよね。引き出しが多いというか。

岩ヶ谷:分かります。掘るものがいっぱいありますよね。

池冨士:来る前でも思ったけど、来てからも層が厚いよなって。面白がれる部分は多い気がしますね。

岩ヶ谷:ですね。ありがとうございます。今後の活動とても楽しみにしています。ぜひいろいろな場面でご一緒させてください。



インタビュアー

岩ヶ谷 充

8年前に岡崎市に移住。川とともにある暮らしの実現を目指し、地域の人々と活動を行う。犬が好き。