いったーん

オクオカの
暮らしにふれる

まちなかで塾・自習室を開き、オクオカにも拠点を持つ田中さんに、行き来しながら見つけた今の暮らしの魅力を伺いました。

オクオカ暮らしのインタビュー

移住したまちで、どうしたら上手く暮らしていけるのかな。どんな暮らしが待っているのかな。移住前に抱える不安。その答えは実際にこのまちで暮らしている人の中にそのヒントがあり、またそれはこのまちの新しい入り口なのではないかと思い、インタビューに伺ってみました。今回は「地域の魅力を伝える」「オクオカ暮らしに近づく」「オクオカと暮らす」の3つのテーマにそって5つの質問項目を設け、それぞれの中から1つずつ選んでもらい、お話を伺いました。そして、インタビューの最後に「このまちの入り口を増やすにはどうしたらいいと思いますか?」という共通の質問を投げかけ、お話を伺った方々の地域に対する思いを聞いています。

お話を聞いた人:田中 崇善さん
大学進学まで岡崎で過ごし、その後東京での生活を経験されたのちに岡崎にUターン。現在は、まちなかに暮らす。一方で鳥川にも拠点を持ち、定期的に鳥川に通う。

大学進学からの十数年間、東京都内で生活したのちに岡崎にUターン。岡崎にいなかった間に合併していた「額田地区」をもっと知りたいという気持ちから、鳥川町でお仕事をはじめました。その後、岡崎の市街地で、中学生向けの学習塾を開校。また、鳥川町で出会った方から、住宅を譲り受けてそこを拠点に今も市街地とオクオカを行き来する生活を送っています。 今回は、まちなかとオクオカを行き来して生活する田中さんだからこそ感じる魅力があるのではないかと思い、お話をお伺いしてきました。インタビューではオクオカで暮らして見つけた魅力と、まちからの距離感などを語ってもらいました。

お話を聞いた日:2024年11月29日

このまちの魅力をおしえてください。

田中:東京にいたときは、目的地までの途中の情報が無限にあるので、いろんな場所があったとしても、自分には関係ないところとして頭から無意識に排除して一目散に目的地に向かっていました。でもこっちだと、たまたま見つけたポイントが気になる。ポツンと一軒何かがあると「あれは何だろう?」って気になることが多いです。

石原:そういうのを発見するのが楽しいですよね。

田中:そう。ちょっと行ってみよう、みたいな感じ。都会は情報量が多すぎるんです。

石原:例えば何かを買おうと思ったときに探しても、オクオカだと都会ほどすぐそばにはないじゃないですか。それを買いにいく道中も楽しむということですね。

田中:そうなんです。そして、最近気づいたのが、夏に軽トラで両サイドを開けて走ると気持ちいいということです。それがこっちに来て気づいたこと。

石原:なるほど。すごいいい発見ですね。まちなかで塾をやっておられながら、オクオカにも来ていらっしゃいますけど、それだからこそ気づいたことはありますか?

田中:塾で教えている勉強って答えがあるじゃないですか。それでその答えっていうものはすぐたどり着けちゃうんですよね。でも、こっちの暮らしの中で見えるものって、正解も分からないし、日々不思議なことばかりで、そのギャップが面白いです。

石原:塾に通う子どもたちにはそういう話をするんですか?

田中:時々します。例えば「猿が山から下りてくる問題は、どうしたらいいと思う?」とか一緒に考えます。

石原:答えのない問いを、自然の中からいただいているという感じなんですね。

田中:そうですね。来る度に発見があります。そこが本当に面白い。自然って全てが分からないじゃないですか。勉強の答えなんて、模範解答もあれば解説もあるわけで、あらかじめ答えが分かっていることを考えている。

石原:なるほど。

田中:もちろん塾で教えていることも重要で、答えのある問題で答えにたどり着く練習をするから、答えがない問いに対しても自分なりの考えに辿り着けるようになるんじゃないかと思っています。


このまちのおいしいものを教えてください

田中:米ですね。こっちのお米ってすごくおいしいですよね。

石原:おいしいです!もともと小さいときから岡崎のお米自体は食べていらっしゃったと思うんですけど、この辺のお米はまた違いますか?

田中:鳥川のほたるの米も、千万町の唐澤さんの作るとんぼ米も、おいしいですよね。米がうまいって思ったのが初めてでした。

石原:それはどこで最初に出会ったんですか?

田中:はっきり覚えてないんですけど、お米の販売をしている大久保さんに教えてもらったのかな。鳥川地区に勤めはじめてすぐに、当時からお世話になっていたホタル保存会の片岡会長が米を作っていて、それを大久保さんを介して買ったのがはじめかもしれない。

石原:なるほど。人とのつながりですね。勤めはじめてできたつながりの中で、オクオカで作られているお米を食べて、今までの米と違うなと感じたわけですね。

田中:そうですね。そもそも振り返れば、誰が作っているか分かっているものを買うという、この経験が東京のときにはなかったかもしれないです。

石原:ひとり暮らしをしたのが東京からだと、はじめて自分の意志で暮らしの用具を買うのが東京だったってことですよね。

田中:はい。そのせいもあってか、本当に顔が見えてるというかね。写真があって「なんとかさんが作りました」とかじゃない。知っている人が作ったものを買って食べるという経験ははじめてでした。

石原:そうか。なかなか東京では生産者さんと出会う機会もないですもんね。「自分がよく知る片岡さんが作ったお米」と思って買って食べたらめちゃおいしかったということですね。

田中:体型の通りご飯は好きで、でもどちらかというとおかずがメインでお米はサブみたいなイメージだったんです。それが逆転したって感じですね。いつも美味しいおかずを探してたんですけど、米がおいしかったらおかずは何でもいいなと思うようになりました。


移住してくる人に向けてひとこと

田中:オクオカって、そんなにハードルが高いわけじゃないよっていうことですね。そんなに遠い場所じゃないというか。僕は東京から岡崎に戻ってに来たんですけど「言うてもそんな遠くないよ」と言いたいですね。うちの奥さんも「東京から来た」みたいなこと言うんですけど、新幹線乗ればすぐっていう感覚ですよ。バックパッカーとかやってたからそのせいもあるかもしれませんが、日本って狭いんで、そんなに遠くないし、変わらないと思うんです。だから、そんなに東京と変わらないですよ、ってことです。 まず興味関心のない方は移住の「い」の字も出ないと思いますけど、興味はあるけど一歩が踏み切れないみたいな方がいるんだとしたら、その一歩は思っているよりも難しくないことを伝えたいです。

石原:そうですよね。そんなに思っているほど大きな一歩じゃない。

田中:僕も電車生活だったので、車は詳しくなかったんですけど、岡崎の市街っていつも渋滞になるんですよね。うちの奥さんの今の職場は岡崎のまちの割と東の方にあるんですけど、同僚の方はその職場から帰るのに駅前を抜けてくる人とかもいて、1時間ぐらい帰るのにかかるみたいで。

石原:確かに一号線走って東岡崎のところ、イオンの前、さらに岡崎駅の前でまた渋滞して、みたいにしてたら1時間はかかりそうですね。

田中:えってなりません?

石原:なりますね。時間帯によっては悲惨だと思います。だったら、奥さんの勤め先からここまで1時間あったら来れる。

田中:そう。30分で来れるんですよね。こっちのほうがむしろ近いですよね。近くないですか?

石原:確かに。渋滞ないし。

田中:渋滞や信号待ちのストレスと、満員電車のストレスって一緒じゃないですか。

石原:軽トラの気持ちいい1時間のほうが絶対幸せだと。

田中:全然いいですよ。だから、オクオカはそんな遠い場所じゃないし、日々新たな問題というか、発見がある。それを解決しようとやっていけば、日々も充実するんじゃないでしょうか。


どうしたらこのまちの入口が増えると思いますか?

田中:入口はいっぱいあるんじゃないですかね。

石原:なるほど。でも人口が今減っているということは、その入口から入ってこないのか、入口に気づいていないのか、どっちかじゃないですか。どうしたら入口から入ってもらえますかね?

田中:お子さんがいたら通学が一番課題ですよね。まずそこを解決できたらいいと思いますね。

石原:どういうことができるんでしょうか。

田中:子どもが高校生になった時に困るとよく聞くんで、ライドシェア的な策が良いのかなあ。定年退職した60代の人とかが運転して、それでお金取ったら白タクになっちゃうんでダメだと思うんですけど、そういうことも規制緩和でOKとなれば解消できそうな気がする。今りぶら(岡崎市のまちなかにある図書館交流プラザ)の周りで何かやっていますよね、無人のバス。額田の1本道でやればいいじゃないですか。

石原:なるほど。無人の手もありますね。

田中:まっすぐ行くだけなので。無人でいけそうな気がするんです。

石原:シカの出ない時間帯だったら。

田中:シカは想定してなかった。

石原:また自然の課題が降ってきて、そこをみんなで頭をひねればいいですよね。子どもたちと考えればいいよね。確かに無人バス、いいですね。

田中:まずは、定年退職の人とかが運転して。

石原:運転して、シカの出現率を検証したあとに無人でやれば。入口に入ってこない理由としては高校のときの進学が大きそうですか。

田中:僕がここで日々聞くのはその意見が一番多いかもしれないです。高校になった時が大変だった、って。

石原:その交通課題を解決することで不安が1つ消せるし。確かにできそうですね。

田中:でもそれだけじゃないですか?買い物だってAmazon買ったらちゃんと次の日にきますよ。そんなに不便なこともないし、思いがけない楽しいこともたくさんあって、毎日が本当に充実しますよ。



インタビュアー

石原 空子

岡崎市の中心部で暮らす。自然と人との関わりの中で生まれた文化や暮らしを探求中。2児の母。